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柳本光晴「響~小説家になる方法~」

文藝誌業界に性格と才能が破格の新人(15歳女子高校生)が出てくる話。狭い業界の裏側と破天荒で才能あふれる主人公を描く漫画なんて鉄板じゃん?フィールドが文芸誌っていうのはめずらしいけど、同じぐらいの子を引きあいに出してライバルっぽくするとか、…

広瀬友紀「ちいさい言語学者の冒険――子どもに学ぶことばの秘密」

GW中に会った同僚の子供(1歳9か月)がまあよく喋る。人や物の見わけがつくようになり、車を差しては「ブーブー」と呼ぶ。消防車と救急車の区別がつかなくて両方「きゅうきゅうしゃ!」と指を差し、大半の動物が「わんわん」になる。慣れないものだから「視…

東東京に鬱蒼と茂る

東京の西ばかりに住んでいるので、東東京には思い入れがあまりない。たまに足を運んでも休日の問屋街は人の気配がなくて、土日の飲食店はまるで潰れたあとみたいに薄暗い。ビルには空室が目立ち、耐震性の問題で長く入居をすることが難しいばかりか、密集し…

10年目のごあいさつ

去年の秋頃からうすうすそんな気はしていたけど、この3月で入社してから10年経った。入社日は初旬だったように思うけど覚えていない。有給消化もせず、ほぼ入れ違いで入社したのではなかったか、どうだったか。やっぱり全然覚えてない。入社時の職種は前職と…

2016年11月23日(水・祝)

夜のバスタ新宿は初。深夜バスに乗って朝6時過ぎに仙台に着く。肌寒いとかじゃなくて明確に寒いが、天気が良いのが救い。仮眠を取ろうと漫画喫茶に入りかけてすぐに店を出る。調べたら1時間以内に出発しないと開館タイミングには間に合わない。目的地までの…

いつか潰れるその日まで

車の気配が近づいてくると、まずはフロント部分の飛び出した形状を確認する。私のところにそのまま突っ込んできた場合の、体に当たる位置を予想する。だいたいが腰のあたり。背後が壁なら挟まれて潰されるだろう。後ろに何もなければ跳ね飛ばされるか、ただ…

「宇宙と芸術展」ほか

冬期休暇がはじまったので「どっか行こうよ」と、同僚女4人で相談。年末年始に営業している展覧会は限られているので(デザインの解剖@21_21、篠山紀信@原美がやってたら行きたかった)、年末年始関係なく森美術館でやってる「宇宙と芸術展」へ。開館時間…

レベルアップたのしい

2年ぐらい前から週1で通っているテニススクールのクラスが、初級から中級に上がることになった。集団スポーツは見るのもやるのもまったくだめなんだけど、テニスはある程度うまくなるまで自分との戦いという側面が強くて、ずっとフォーム改善のこととか考え…

新田章「あそびあい」

中学生のとき、仲の良かった女の子が、文字通り顔面蒼白で私のところへやってきて「怖い」と相談してきたことがある。話を聞くと、深夜帯に下世話なエロい番組を持っている地元FM局のパーソナリティーと仲良くなり、今晩意味深な時間帯に呼び出されていると…

尻が透けるパンツを奨励する

異常に下着にこだわる男性を何人か知っている。女性が纏う下着ではなく、自分が身に着ける下着についての執着で、最近だと、自身の経営する古道具屋にお気に入りのブリーフ(しかも水色)を置き「これ僕が好きな下着なんです」とお勧めする知り合いが一番の…

入江亜季「乱と灰色の世界」

唐突に、自分の脚がちゃんとあるか確かめたくなる瞬間というか癖がある。とりあえず、つま先を地面に何回か打ちつけてみたりする。その大半が電車で揺られているときのことで、不安に駆られるのではなく「そういえばちゃんとあったっけ」ぐらいの気もちでや…

近藤聡乃「A子さんの恋人」

最近発売された2巻を読み、それまでは「面白いな~」ぐらいだったのが「大変だ! クッソ面白い!!!!!!」に位があがり、身の回りの人に見境なく貸しまくっている。今手元にない4冊と、これを書くのにあたり今買ってきた1冊をあわせて計5冊(1巻が3冊、2…

田島列島「子供はわかってあげない」

去年、読んだ後にSNSに投稿していたテキストが私の感想の大半を物語っていたので転載します。自分のテンションの高さが異常。あとこれが田島列島さんのデビュー作だったのほんとに驚いた。 読み終わったあとの寂しさがありつつ、1、2巻じゃなくて上下巻であ…

たかみち「百万畳ラビリンス」

表紙をざっと見て、作品説明をざっくり読んで、思いついたストーリーは「閉じ込められちゃった不思議な世界から男女2人が協力して脱出を目指しつつ、なんやかんやで色恋の流れが発生する甘酸っぱいやつ」的なもの。そんな先入観で手に取ったら、いい意味で裏…

施川ユウキ「オンノジ」

一人取り残された女の子・ミヤコと「ちょっと変な世界」の4コマ漫画。自分以外の人間が誰もないという絶望的な設定でギャグ(それもすごいゆるい)が続く。「狂った世界をポジティブに楽しもう!」と、改めて字面に起こすと不安要素しかないのだけれど、キャ…

原泰久「キングダム」

あえて書くまでもなく当たり前だけど、音楽とかお笑いとか食べ物や育ってきた環境と同様に、漫画も人によってツボが違う。自分が面白いと思った作品が、万人に受け入れられるわけがない。自分の趣味の一環で、友だちや同僚に漫画を貸したりあげたりしている…

すぎむらしんいち「ホテル・カルフォリニア」

映画化を願っている漫画がいくつかある。それは「映画化したら面白そう」という類のものではなくて、話の組み立て方がまさに映画、各エピソードの終わり方が映画、余韻が映画、とにかく全部が映画の要素で組み立てられている、そんな漫画。その中のひとつが…

高野雀「低反発リビドー」

初の単行本「さよならガールフレンド」も大好評(身の回りの絶賛っぷり半端ないし、それに互いない面白さ)の高野雀先生によるショートショート「性癖」漫画。1話が5P前後なのでざくざく読める。全1巻に30話。勝手に「性癖図鑑」的ものを期待して読んだらち…

テスト・サンプル05「ひとりずもう」

サンプルによる実験公演「テスト・サンプル」。今回は主宰の松井周さんと所属俳優がそれぞれタッグを組んで作った「一人芝居」5作品が上演された。とりあえず松井さんが役者として出てくる公演はできる限り見に行くようにしているので速攻でチケット確保しま…

眉月じゅん「恋は雨上がりのように」

表紙に登場するかわいい女子高生・あきらの目線を中心に描かれる恋愛漫画。ただし、彼女の思い人はバイト先のさえない店長(45)という少し変わった設定。ギャグ漫画的なノリを想像して読んだら、至極まっとうな恋愛漫画だったので驚く。しかも掲載誌が「ビ…

大川ぶくぶ「ポプテピピック」

クソ漫画大好きメーターがビンビンに振り切れる4コマ漫画。時の流れがいっさい考慮されていない特攻隊のような時事ネタ、某人気漫画のパクリ、ターゲット属性が狭すぎるあるあるネタ、コピペによるコマの使いまわし、脈略のない思いつきのネタなどの宝石箱。…

朔ユキ蔵「神様の横顔」

朔ユキ蔵先生が演劇漫画を描きはじめた。あの「アイドルとヤリまくって身体に星のアザを持つ女性こと「フクマン」を7人探そう!)」とか「読者が“さっさとヤレよ!おまえら!”と突っ込みたくなるほど展開が全然進まない学園内浮気もの」とか「ものすごいヤリ…

スイッチ総研『下北沢演劇祭スイッチ ~あなたの知らない本多劇場~』

「突然演劇システム」ことスイッチ総研が『下北沢演劇祭』に参戦。しかも下北・本多劇場の裏側を案内する1日限定開催のバックステージツアーとなれば行かない理由なし。チケットが即完売したあとに、平田敦子さんやナイロン100℃の峯村リエさんの参戦が発表さ…

康本雅子/スズキユウリ『視覚障害×ダンス×テクノロジー“dialogue without vision”』

入場無料のダンス公演『dialogue without vision』を見てきた。吹き抜けになっているKAAT神奈川芸術劇場の広いエントランススペースを舞台にした「視覚障がい者」によるダンス公演、というのが前知識。 www.cinra.net 舞台は10メートル四方程度の広さで、客…

くらもちふさこ「α」

漫画のことをポツポツ書く中で触れたいテーマがいくつかあり、そのうちのひとつが「連載誌で読むべき漫画問題」だ。漫画読みには「単行本派」と「連載派」という2大勢力があり、頻繁に「ネタバレ」をキーワードに死闘を繰り広げているが、そのあたりの是非は…

タナカカツキ「マンガ サ道 ~マンガで読むサウナ道~」

漫画家でアートディレクターで映像作家で「水草水槽の世界ランキング第8位」と、肩書きがどんどん大変になっていくタナカカツキさんによるサウナ指南本。2011年にも「サ道」というサウナ体験記を出しているカツキさんですが、今回はまさかの連載化。「モーニ…

ブックデザインコース「ブックデザインの魅力」( 講師:鈴木成一)

鈴木成一デザイン室の代表こと鈴木成一さんのイベントに行く。鈴木さんは途方もない量の装丁を手がけていて(30年間で1万冊といわれている)、しかも作風の幅広さがすさまじい。個人の方が運営しているサイトだけど、ここに一覧を発見。知っているあの本この…

西原理恵子「ダーリンは70歳」

どこで聞いたか忘れたけど「月給が100万を超えると色々どうでもなってくる」っていう話が頭に残っていて、人間の価値観を一番簡単に変える方法ってきっとお金なんだろうな、と思う今日この頃です。「ダーリンは70歳」こと、西原理恵子と「YES!高須クリニッ…

Takahiro Murahashi / Satomi Iwase「グセとアルスの絵画展」

青山のユトレヒトにて。こじんまりとした会場で順路どおりに案内図をもってまわる展覧会。陶器をモチーフにした作家の絵画作品が壁一面に並んでいる。会場には音声ガイドもあるし、作家が収集していたコレクションも展示されている。作家が愛したクッキーを…

野田サトル「ゴールデンカムイ」

表紙のイメージとざっくりしたあらすじから「エグい&怖い&男臭い系」っていう先入観で読みはじめたら、そんなくだらない思い込みをきれいに裏切ってくれて思わず拍手。ブラボー。生臭くてシビアな話に、雑学&グルメのアクセントを添えたら、まぁなんてお…

ハイバイ「夫婦」

ハイバイの新作舞台「夫婦」を池袋シアターイーストで観る。バイバイはトップクラスに好きな劇団で、物語の多くは、主宰で元引きこもりの岩井秀人さんによる実体験がベースになっている。 「夫婦」は亡くなった岩井さんの父親とその家族の話。まだ公演期間中…

恋愛観の暴力質問装置

部屋の中を暴れまわる4WD(動物)が、置いてあったリサ・ラーソンの置物(鳩)を落として割っても「愛ゆえに許せる~」と自分に言い聞かせながら割れた個所をボンドで張り付ける午前1時です。 寝る前にこんなリンク見つけてしまい、あたたか~い寝床から這い…

「クウネル」のリニューアルとADについて

たとえば、母親の心が娘の体に入ってしまったとか、幼馴染みの男の子と女の子が出会いがしらにぶつかって入れ替わっちゃったとか。「中身がその人で あれば外見は問題ない」っていう絆の試され方が「物語」にはよく登場する。でもその相手が、中身も本人とち…