ハイバイ「夫婦」

ハイバイの新作舞台「夫婦」を池袋シアターイーストで観る。バイバイはトップクラスに好きな劇団で、物語の多くは、主宰で元引きこもりの岩井秀人さんによる実体験がベースになっている。

 
「夫婦」は亡くなった岩井さんの父親とその家族の話。まだ公演期間中なので多くは書かないけど、話そのものは笑えない内容。でもそれを笑っていい場が作られている。岩井さんの舞台を見るたびに、自身の深い傷であり、同時に自分という人間を作り上げた事実を「笑い」にするっていうのはどういうことなのか、と思いをめぐらせてしまう。しかもそれを演出して、役者に自分自身、つまり「岩井秀人」を演じさせるというのはどんな気持ちなのだろう。まったく考えが及ばない。
 
ハイバイはあまり新作を作らず、同じ公演を繰り返し上演していて、それは「自分の体験」というものを作品にするのが難しい、っていうことが表れでもある。4月から「男たち」が再演されるのですが、こちらもおすすめです(初演観てますが、追加キャストがサンプルの松井周さんなのでもう一回いきます)。
 
 
ちなみに「夫婦」は「山内圭哉さんが母親役」っていうのが話題のようですが、私は途中で演出として出てくる「岩井秀人という人間のゲシュタルト崩壊」が最高でした。