朔ユキ蔵「神様の横顔」

神様の横顔(1) (モーニングコミックス)

朔ユキ蔵先生が演劇漫画を描きはじめた。

あの「アイドルとヤリまくって身体に星のアザを持つ女性こと「フクマン」を7人探そう!)」とか「読者が“さっさとヤレよ!おまえら!”と突っ込みたくなるほど展開が全然進まない学園内浮気もの」とか「ものすごいヤリチンが少女を師匠に究極の○○○ーを研究する」とか、なんだかんだ色欲ばっかり描いてた朔ユキ蔵先生が、朔ユキ蔵先生が!!!(正確には正統派ファンタジー漫画もあるにはあるけど)。

しかも男性のみの演劇学校を舞台に、才能を「持つ者」と「持たざる者」を巡る物語、いうかなりまともな内容。人の目を惹きつける、役になりきる、そもそも人より優れた演技とは? といった演劇の紐解きはもちろん、意外にも少女漫画的な展開も含まれており、これはいきなりの新境地! と驚くばかり。

まだ1巻のみの刊行でこの先どうなるのかわからないけど、朔先生作品で特徴的だった「勢いのある黒で塗りつぶされた混沌の描写」が影を潜め、演出の仕方から線の作り方まで変化が見て取れる。なんだか「正統派」に挑んでいる印象もあります。