テスト・サンプル05「ひとりずもう」

サンプルによる実験公演「テスト・サンプル」。今回は主宰の松井周さんと所属俳優がそれぞれタッグを組んで作った「一人芝居」5作品が上演された。とりあえず松井さんが役者として出てくる公演はできる限り見に行くようにしているので速攻でチケット確保しました。

 

内容は、不動産仲介業者の一人芝居から浮き彫りになる「内見あるある」、松井さん自ら演じる学校教師の妄想の暴走から狂っていく三者面談、際どい時事ネタを盛り込んだ一人謝罪会見などなど。一人芝居であることを観ているうちに忘れられる演技力はもちろん(そこは当たり前っていう前提はうれしいことなんです)、短い上演時間でありながら脚本にしっかりと盛り込まれた違和感と話の切り返し(サンプルの実験公演をあえて観に来てる客にストレート球を投げても確かにダメ)、そして細かいエロ要素と豪快な下ネタが合体した波状エロ攻撃。本公演より気軽に観られるキャッチーな内容で、下手なコントより楽しめるところがうれしい。最近観た中でもやっぱりトップクラスに面白い。

作り方の部分まで突っ込むと、本公演と同様にエチュードで脚本が作られており、役者から松井さんにテーマが出され、それを1回2、3時間のやりとりで膨らませてそこから最終的な形に落とし込む、という方法が取られている。アフタートークで松井さんが言っていた「人間の反応に重きを置いている」が体現されているのだけど、それでいて表面上がキャッチーに仕上がっているのが最高。


ちなみにサンプルは知らなくても、所属団員の古舘寛治さんに見覚えはありませんでしょうか? 映画やドラマではキャッチーな役所が多いけど、サンプルの公演では救いようもない自己中&極悪スケベじじい役ばかりで、私はとても好きです。