施川ユウキ「オンノジ」

オンノジ (ヤングチャンピオン・コミックス) (ヤングチャンピオンコミックス)
一人取り残された女の子・ミヤコと「ちょっと変な世界」の4コマ漫画。自分以外の人間が誰もないという絶望的な設定でギャグ(それもすごいゆるい)が続く。「狂った世界をポジティブに楽しもう!」と、改めて字面に起こすと不安要素しかないのだけれど、キャラの思考と行動はむしろその逆をゆく。

あんまりにもミヤコが呑気なので、それにつられてヘラヘラ読んでいると、黒ベタ背景&文字のみのシリアスなコマ(主に各話の最後)が現れるたび「そうだった、そういう話だった」といちいちふりだしに引きずり戻される。短期間に心もちが「のほほん⇔シリアス」を往復すると、読み手としての立ち位置(テンション)がわからずにいい意味で混乱するのだけど、読んでいるのは間違いなくギャグ漫画なのでとりあえず感情として「笑」状態になる。この不安定さを良しとするかどうかが好き嫌いの分かれ目だろう。

タイトルの「オンノジ」は、主人公の女の子が途中で出会う「不思議な生き物」のことなのだが、ちょっと「思ってたんと違う」設定で驚いた。正しくはその設定にではなく「漫画に出てくるよくわからないキャラってだいたいこんな感じ」というつまらないステレオタイプが自分の中に出来上がっていたこと、に驚いた。