読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

10年目のごあいさつ

去年の秋頃からうすうすそんな気はしていたけど、この3月で入社してから10年経った。入社日は初旬だったように思うけど覚えていない。有給消化もせず、ほぼ入れ違いで入社したのではなかったか、どうだったか。やっぱり全然覚えてない。

入社時の職種は前職と同じウェブデザイナーだったのに、入社数か月の頃に社長から「ニュースサイト立ち上げるからそこでニュース書かない?」とかなんとか言われ、私もそれを承諾したのだけど、当時何を考えていたのかよくわからない。仕事で文章書いた経験もなければ、社内にそういう先輩がいたわけでもない。ノウハウもなかった。

入社する以前から社長とは個人仕事でウェブ制作してたから、なんとなく互いに「こいつ実はデザイナー向いてないな~」という雰囲気だけは共有していたのではないか、今思うと。自分の成果物に対してクライアントが大きなお金を払うだけのものを作ってる自信もなかったし、そもそもデザイナーになったのも、昔はウェブサイトってダサいのばっかりで「だったら自分で作ったほうがまだいいかな」と、友だちバンドのウェブサイトを作るのと同じ感覚で仕事にしたのだけど、数年経ったらそこそこにかっこいいウェブサイトなんて誰でも作れるようになってて、なんか別に私がやらなくてもいいか、という気持ちになってしまったのが原因だったり。

それで突然「ニュースサイトはじめる」と言われたときに何となく承諾したら「じゃあ、デザインとシステムは任せた」ってなって。これもまったくどうやったのか覚えてないのだけど、外部のシステムの人とギャーギャー言いながら、デザイン作ってシステム組んでもらって、体制も整わないままニュースサイト的なものをはじめてみたのだった。

当時は編集長と私しかサイト運用にかかわってる社員がいなくて、ニュース執筆も友だちに外注&内製でこなしていたから、私&友だち数十人みたいなはちゃめちゃな体制だった(会社の名誉にかけて補足すると数年後には内製だけになりました、さすがに色々無理だった)。プレスリリースをどうやってもらったいいのかわからないし、誰も正解など知らないし、私の教育係もいないし。よく考えると結局誰からも文章の書き方なんて教わらなかった。編集長は企画系の担当だったので、ニュースに関しては私の独壇場だったのだけど、なんとかなっていたのだろうか。よくわかんない。当時のことはやっぱり覚えていない。

苦労話はあまりしたくないけど、運用が自分一人でしかも受託の仕事(デザインもまだやってた)もあり、当時ニュースも一人で回してて、最初の数年間は修羅としか言いようがなかった。でも当時は若かったし「ここで自分が倒れたら全部終わる」というだめな使命感と気合いでやっていた、ような気がする。運用の仕事が21時ぐらいに落ち着くので、そのあと夜中まで受託仕事をやる、みたいな日々。土日も関係ないし、外の人にはそんな運用体制だなんておおっぴらには言えないし、当時は「外から見ると大きいロボットなんだけど、実際は一人で操縦とメンテナンスしててそれを誰にも言えない」ような感じだった。

ただ、そこまでボロボロだったのは最初の数年だけで、その後は順調に人も増えて今はそれなりの人数になりました。ありがたい。有給とかも取れちゃう。2年前ぐらいからいわゆるデスクになったので原稿もほぼ書いていない。仕事内容的にそこまで劇的に楽にはならないのだけど、まあそこそこやれている感じがする。

そういえば私がほぼ原稿を書かなくなったとき、チームの子に「たまには原稿書かなくて大丈夫ですか?」と聞かれて、私が「書くの嫌いだから別にいいよ」って答えたら「はい?」みたいな顔をされたのを覚えてる。自分でもそれでよく10年弱やってたな、って思うんだけど原稿書きが楽しかったことは一度もなくて、情報のアウトプットに必要だったから作ってただけだった(あ、でも記事タイトル大喜利は好きだった。いくつも案を作って戦わせるのは好き)。

自分にしかできない仕事をしたい、というありがちな気もちは皆無で、むしろ必要なのに誰もやっていないことがあると、自分でもよくわからないのだけどそこに係らないといけないような気もちになる。そういえば社長からの「ニュースやらない?」の声がけも、Twitterとかで気が狂ったように身近なイベント情報を紹介していた私のことを見かねてのものだった気がする。その当時(今もだけど)、友だちに映像作家とか劇作家とか役者とかバンドマンとか美術作家とかいっぱいいて、みんな一生懸命なのに世の中には全然そういうことが広まらなくて、その状況にめちゃくちゃイライラしていたように思う。それぐらいかな、この仕事やってた理由って。

で、ここ数か月で「あ、このサイトいい感じに回ってるな~」って思うようになって、ということはもうやらなくてもいいな、と思いはじめてきて。そしたらちょうど社長が10年前みたいにやってきて「別の仕事やってみない?」と言ってくれたので乗ってみることにした。というわけで4月から別職種なんですけど、これがまた今までのキャリアとか一切関係ないし、何をやったらいいのかも皆目わからないし、社内にノウハウもないし。ただ「あー、それは確かに必要だし、今の社内の人間でやるなら私か」と思ったのでまあ大丈夫かな、と。

長くなりましたが、今の会社に居てありがたいな~と思うことは、まだ全体的に不器用な会社だけど、理不尽な人間関係とかくだらないいじめとかなくて(まあみんな年も近いし、社長も私と1歳違いだし)、私みたいなすさまじく使いづらい人間のこともどうにか考えてくれるところとかあ、と。私だったら新しい職種の希望で「予算なし、クライアントワークなし、デザインなし、編集なし、できれば外部の人と会わなくて、あと難しくないやつ」とかいう社員が居たらとりあえず蹴っ飛ばすな~。蹴っ飛ばされなくてよかった。

余談:
この仕事やってる中で2つほど「こうなったら辞めよう」って思ってたことがあって。ひとつは日々届く色々なご案内に敬意を持てなくなったとき、もうひとつは何か変な業界人意識とか生まれちゃったとき。とりあえず両方とも該当しなくてよかった。