Takahiro Murahashi / Satomi Iwase「グセとアルスの絵画展」

f:id:pico1224:20160201234852j:plain

青山のユトレヒトにて。こじんまりとした会場で順路どおりに案内図をもってまわる展覧会。陶器をモチーフにした作家の絵画作品が壁一面に並んでいる。会場には音声ガイドもあるし、作家が収集していたコレクションも展示されている。作家が愛したクッキーを再現したものが売っているので、お土産におすすめ。

たまたま作家さんが在廊していたので、テンションが上がって思わずそんなキャラでもないのに話しかけてしまった。ちょっと騙されたいときにぜひ。

GUSE and ARS PAINTING EXHIBITION「グセとアルスの絵画展」 | UTRECHT

野田サトル「ゴールデンカムイ」

ゴールデンカムイ コミック 1-4巻セット (ヤングジャンプコミックス)
表紙のイメージとざっくりしたあらすじから「エグい&怖い&男臭い系」っていう先入観で読みはじめたら、そんなくだらない思い込みをきれいに裏切ってくれて思わず拍手。ブラボー。

生臭くてシビアな話に、雑学&グルメのアクセントを添えたら、まぁなんておいしいアラカルト。「このマンガがすごい! 2016」のオトコ編で上位に入っていたのは、話の男臭さじゃなくてヒロインのかわいさと、なんだか憎めないサイコ野郎の魅力なのだろうか。思わず「それ、大金稼ぐエピソードとしてはちょっと荒削りじゃねえか?」というツッコミを忘れてしまうぐらいのキャラ立ちが気持ちいい。あと、いっぱい書きたい事がある漫画って単純に好き。あと異文化コミュニケーションも大好き。まだ序盤なのでこれからが楽しみだな~。

www.s-manga.net

ハイバイ「夫婦」

ハイバイの新作舞台「夫婦」を池袋シアターイーストで観る。バイバイはトップクラスに好きな劇団で、物語の多くは、主宰で元引きこもりの岩井秀人さんによる実体験がベースになっている。

 
「夫婦」は亡くなった岩井さんの父親とその家族の話。まだ公演期間中なので多くは書かないけど、話そのものは笑えない内容。でもそれを笑っていい場が作られている。岩井さんの舞台を見るたびに、自身の深い傷であり、同時に自分という人間を作り上げた事実を「笑い」にするっていうのはどういうことなのか、と思いをめぐらせてしまう。しかもそれを演出して、役者に自分自身、つまり「岩井秀人」を演じさせるというのはどんな気持ちなのだろう。まったく考えが及ばない。
 
ハイバイはあまり新作を作らず、同じ公演を繰り返し上演していて、それは「自分の体験」というものを作品にするのが難しい、っていうことが表れでもある。4月から「男たち」が再演されるのですが、こちらもおすすめです(初演観てますが、追加キャストがサンプルの松井周さんなのでもう一回いきます)。
 
 
ちなみに「夫婦」は「山内圭哉さんが母親役」っていうのが話題のようですが、私は途中で演出として出てくる「岩井秀人という人間のゲシュタルト崩壊」が最高でした。
 

恋愛観の暴力質問装置

部屋の中を暴れまわる4WD(動物)が、置いてあったリサ・ラーソンの置物(鳩)を落として割っても「愛ゆえに許せる~」と自分に言い聞かせながら割れた個所をボンドで張り付ける午前1時です。

寝る前にこんなリンク見つけてしまい、あたたか~い寝床から這い出てキーボードをガタガタやっています(指の先からどんどん冷たくなっていきます)。

馬鹿の結婚論 | ヨウコ | note
https://note.mu/yk00000note/n/na21126f1df8a

こ のテキストがすごく気持ちよく読めた。去年あたりから同僚やら知人やらに「あなたにとっての恋愛ってなんですか? ねぇ、結婚って何ですか??」と手あたり次第聞きまくっているものの、なかなか腹を割ってくれる人はおらず(全くいないわけではない)、せいぜい聞き出せ たのは女同僚による「全部少女漫画が悪いんだ! 夢なんか見させやがって!!(手に持っているジョッキをテーブルにドンッ!)」ぐらいなもので、なんだかまだ全然話したりない。話し合い足りない。俺とお 前のそれぞれの信念を、ビートにのせてぶつけあいたい。下世話なノリじゃなくて「俺(私)はこうあるべきだと思う!」という生々しい話がしたい!!!!  価値観の!多・様・性!!!

とかなんとか書いてたらまた4WDがボンドでくっつけたばかりの置物(鳩)を叩き落としたので寝ます。ちなみにシラフだバカ!

「クウネル」のリニューアルとADについて

たとえば、母親の心が娘の体に入ってしまったとか、幼馴染みの男の子と女の子が出会いがしらにぶつかって入れ替わっちゃったとか。「中身がその人で あれば外見は問題ない」っていう絆の試され方が「物語」にはよく登場する。でもその相手が、中身も本人とちょっと違うし、さらに外見も似つかなかったら、 とてもその人を信じることはできないだろう。というよりそれってもうちょっとしたホラーだ。うっかり悲鳴とかあげたりしてもおかしくない。

突然「ターゲット層を30代から50代に変更します、ただし誌名はそのままで。」という方向転換をした「クウネル」のamazonレビューが炎上してる、と聞いて見にいったら炎上どころか葬式みたいな有り様だった。

www.amazon.co.jp

とりあえず実物を手に取って誌面を見てみる。一番の炎上原因はもちろん、誌名を残したままターゲット層だけ変えたことだけど、その次はアートディレクターの変更なんじゃないか。

創刊時からADだった有山達也さん(イメージキャラクターの誕生にも関わっている)が手掛けたクウネルの誌面には、ゆったりとした時間の流れが存在する。 フォント選びや文字組、誌面レイアウトによるところも大きいけど、「ADっていうのは写真家と編集者のバランスをとる仕事」「デザイン云々より雑誌を好き になってくれることが大事」と語る同氏の人間性がにじみ出たものだと思っている。2003年の創刊からリニューアル前の最新号まで、ずっとADを担当でき たのも「編集者と読者」の両方に愛されていたからなんだろう。

リニューアル後は、「BRUTUS」などで知られる、藤本やすしさんがADを担当している。「50代向け」に裁ち落し部分いっぱいまでレイアウトされた誌 面のマージンは少なめ。写真も文字もできるだけ大きくなっており、ターゲット層に対しての誌面作りはばっちり。...なので結局「クウネルじゃなかったら いいのに!」に尽きる。

ちなみに有山さんは、一昨年創刊した「つるとはな」という、こちらもやや高齢者層向けの雑誌のADを担当している。私のつたない説明より、「つるとはな」 を手に取ればいろいろ伝わると思うので、見つけたらぜひ見てみてください。こっちのほうがよっぽどクウネルに世界観が近い。

www.tsuru-hana.co.jp

※途中の有山さんの発言っぽいのは、10年前に私が参加したADについての有山さんのトークでのメモ書きからの抜粋なので、発言そのままではないです。方向性はあってるはず。